赤松美和(以下、赤松) 実は、今回、安藤監督とお話しをすることになって、高知にも行こうかと思っていたんですよ。とてもユニークな人だとお見受けしていて、高知に移住されたと聞いていたので。
安藤桃子(以下、安藤) おぉ! 高知は来られたことありますか?
赤松 私、父の田舎が四国の香川なんですよ。だから香川には行ったことがあるけれど、高知には行ったことがなくて。でも四国は大好きで。
安藤 赤松さんに高知合うと思います! 高知ってラテンなんですよ。直感だけど、絶対高知が好きになる気がします。
赤松 今回「KEEP THE FAITHで対談したい人は?」って編集長に尋ねられて。「どんなにハードルが高くてもいいから、ひとまず会って話してみたい人を言ってみて」って聞かれたんです。それで、迷わず安藤監督の名前を伝えたんですよ。
安藤 それはうれしいです!
赤松 内心、最初から会えるような気がしていたんです。インスピレーションだけだけど(笑)。たいていの人って、何かを始める前に「でも」っていう言葉や考えが入るじゃないですか? たとえば、安藤監督と対談したいという希望を持っていても「でも、お忙しそうだし」とか「でも、高知に住んでいらっしゃるし」とか。
安藤 やる前から、できない理由を見つける……。
赤松 そうなんですよ。でも、この「HAIR CATALOG.JP」に関わっている人たちって、参加しているヘアサロンもそうだし、そのスタッフたちもそうだし、サイトをつくっている編集の人たちもそうだけれど、何かに直面したときに「でも」から入らずに、「どうやったらそれが実現できるか?」という思考から始める人たちだから、今回も、絶対会えると思っていたんです。
安藤 そんないきさつがあったんですね。
赤松 私ができることはエネルギーを送ることぐらいだから、編集長にも「エネルギーを送っておくね」って(笑)。
安藤 届いちゃったのかも(笑)。
赤松 やっぱり桃子さんもインスピレーションを持っている人ですね。私たちは絶対、会ったほうがいいと思っていたんですよ。
安藤 会いたいと言ってくれる人にやっぱり会いたいと思うし、何よりも、「気持ち」で会いたいって思いますね。映画をつくって、賞をいただいたりすると、これまで何もおつきあいのなかったところから、いろいろなオファーが舞い込んでくるんです。でも、そこに考えも思いもないお話って、不思議とすぐにわかるんですよね。
赤松 バレちゃってるんですね?
安藤 バレバレです(笑)。お金よりも、気持ちっていうのが絶対いちばん大切です。本来、仕事も人間関係もそれでないといけないはず。すべてはご縁ですものね。
赤松 桃子さんのそういうところが好きなところ。ハートでジャッジしている感じがするんですよ。今回、お会いできることが決まって、桃子さんの過去のインタビューなどを拝読したら、「やっぱりね」と思うことが多かったんです。ルーツが四国だったり、ロンドンに滞在されていたり。だから、今回の対談で「何を求められているのか?」とかは、ひとまず置いておいて、語りたいなって(笑)。
安藤 でも、お話をしていく中で、「大切なことは何か?」というのが浮き彫りになっていく感じがします。今の時代、きっと本質的にクリエイティブに携わっている人たちは、職種関係なく、絶対的に同じ疑問や違和感、ズレを抱えているだろうなって思うんですよ。文学、音楽、どこもかしこも。だから、今日は、映画業界と美容業界の共通点も見えてくるだろうし、逆に言えば、解決の糸口も見つかるかもしれない。クリエイトしていくドライブを掻き立てているものも、もしかしたら同じかもしれないなって思っているんですよ。
赤松 おそらくそうだと思います。桃子さんのおっしゃるように、抱えている問題も、それを解決する糸口も、お話の中で見えてきそうですね。