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BEAUTY AWAKE

Double 東内隆之/Takayuki Tonai

STYLIST’S VIEW

 美容師を続けて25年。僕にはもともとサボリ癖があります(笑)。それを僕はとても自覚しています。20代の頃は、ハタから見ても「頑張ってるな~」と思われるくらいガツガツしていました。でも今は、お客さまに対して質の高い技術を提供し続けられる存在でいるために、お客さまを送り出すとバックヤードで少しサボっています(笑)。そして家に帰るとソファの上から一歩も動かないくらい、まるで燃え尽きた何かのように、抜け殻のように、ぐだ~っとしています。逆を言えば、それぐらい僕はセット面にいるときに、自分の持っている力を出しきっているのです。
はさみと共に
緊張と弛緩を繰り返す
 長く仕事をしていると、美容師の本当の楽しさが見えてきます。定年がないからこそ、長く続けたいと本気で思うようになります。そうすると、長く続けるために自分を維持し続けなければならないことがわかってきます。維持するのは、技術はもちろん、体力や精神力、集中力、ありとあらゆるものです。もちろん表参道で仕事をしている以上、「維持ができている」というレベルで満足するわけにはいきません。時代性や流行、季節、そのときの自分やお客さまの気分……それらを踏まえた上で「その時点での最良のチョイスをできる判断力」と「その状況に対応できるスキル」を磨き続けていなければならないのです。
 僕はこれまでに多くのお客さまの髪を切ってきたけれど、たった一度でも「これ以上、うまく切らなくていい」と思ったことはありませんでした。いつもカットを終えるときは「今の時点でのひとつの正解」と思っているだけで、決して終わったわけではないですから。ときどき、その終わらないことをやり続ける、終わらない道を歩くことについて考えるけれど、僕は「終わったほうが辛い」と思っています。終わらないからこそ楽しくて、終わらない仕事に出会えたことが幸せで……。
 今日のモデルさんは、とても魅力的なものを持っているのに、縮毛矯正が全体にかかっていたため、髪がまったく動かない状態でした。僕はもともと、生きている人間に備わっている髪は「動くものであり、動いてこそ美しい」と思っているので、カットでコントロールして、動く髪に戻してあげたいと思いました。セニングシザーで中から髪の量を調整したり、レザーで表面に表情をつけたり、Rシザーで流れを微調整したり……。今、僕は、セニングシザー6種類、Rシザー、レギュラーシザー、レザー……と多くの道具を使い分け、それぞれ独自の使い方をしています。それらの道具は、僕にとっての「仲間」です。同じ目的を成し遂げるための大切な「仲間」。
 髪は、力まかせに扱うと反発する性質があります。たとえばパーマのロッドを巻くときに必要最小限の力で転がすようにしないと、支点がズレたりブレたりしてうまく巻けません。つまり力をいかにうまく抜くかが上達のカギ。レザーカットひとつとってみても、左右の手の動きのコンビネーションや髪にあたる刃の角度、レザーを動かすストロークの幅やスピードのコントロール、髪のウェット具合など、同時に意識しながら力を入れるところと抜くところのバランスを考えなくてはならない項目が無数にあります。
 髪も自分も上手にコントロールしようと思ったら、肩に力を入れて緊張し続けていてもうまくいかないことがあります。それが身に浸みて感じている僕は、緊張と弛緩を繰り返すことで「この人はいつ来ても本気で私の髪のことを考えてくれている!」とお客さまに思われる美容師でい続けようと思っています。

HAIR STYLE

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AFTER THE BEAUTY AWAKE

 茨城から上京してハーツMOON、ハーツSNOW、ドゥーブル、COR、そして今再びドゥーブルに戻って、気づけばずっと美容の聖地で働いています。ハイペースでは長続きしないことがわかっているからこそ続けられているけれど。実は今、またそろそろゆっくり走り始めようかな、なんてと思っているところです。

東内隆之 Double 
クリエイティブディレクター

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