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BEAUTY AWAKE

Double 寺田繭/MAYU TEARADA

STYLIST’S VIEW

 「やってみたいけれどできない」「そうなりたいけれど似合わない」……そんなふうに「希望のヘアスタイルは自分には無理だ」と決めつけているお客さまが多くいます。私は、そのような声を聞くたびに美容師としての責任を感じます。美容師がお客さまの「本音」に気づかず、お客さまが自分に否定的な感情を持ってしまう原因を美容師がつくってしまっているのではないか、と思うからです。
「いつもの自分」の
その先へ
 過去に希望を伝えたことがあるけれど「その長さにしたらハネちゃうよ」と言われたり、「クセ毛だから難しいね」と暗にダメ出しをされたり……。それがきっかけとなって、お客さまが自分自身に対してネガティブな思いを抱く。そしてしだいに「美容師さんに言っても伝わらない」と静かにあきらめてしまう。
 私自身、無難なところをめざしたくなる美容師サイドの気持ちが実は痛いほどわかります。そこそこ似合っていて、ある程度可愛くて、ほどほどにおしゃれだったら、リスクを冒してまで新しいところをめざさなくてもいい。そんなふうに考えてしまうのも仕方ないのかもしれません。でも……。
 今の私は、お客さまの前向きな気持ちに、これまで培った自分の技術やセンスの全部で向き合って「では、その新しいところへ、ご一緒に!」とチャレンジしたい思いでいます。
 今回のモデルさんは、この撮影の数週間後には渡米するフォトグラファー。ファッションにもクリエイティブなことにも興味があって、もっと個性的なヘアスタイルも楽しんでみたいと思っていたのに、ストレートな髪質や骨格から、いつも似たようなヘアスタイルを美容師から提案されていたといいます。そして、30代になったら今よりも日本でのキャリアが積み上がって渡米する勇気がなくなっているかもしれないから今、渡米することにした、と。そんなふうにおっしゃるモデルさんを目の前にして、高校生以来のパーマにトライし、長さもガラリと変えました。安全だとわかっているところに身を置かず、多少リスキーでも新たなことに挑戦する。20代半ばで決心をした、そのモデルさんの思いに、私は攻めたパーマスタイルという形で、チャレンジする人生へのプレゼントを贈りたかったのです。
 スタイリストデビューをして4年。今でこそ「お客さまと一緒にまだ見たことのない自分へ」という思いを持っていますが、もともとそのような考えを持っていたか?と問われれば、それは違います。アシスタント時代は、先輩たちから、何を言われてもできなくて、練習してもできるようにならなくて、叱られて、叱られて……毎日、泣いていました。20代半ばのころは、自分の下にたくさんの後輩がいて指導する立場なのに、自分が100%できていないから自信が持てなくて後輩を叱ることすらできずにいました。あまりに辛い日々だったので、そのころの記憶は、吹っ飛んでしまっているぐらいです。
 でもスタイリストになってしばらくしたときに、ふと気づいたのです。「あ、私、今すごく楽しい!」と。そしてその楽しさは、お客さまの求めに対して応えられる技術とセンスが自分にもついてきたから実現しているのだと。あの、長く暗いトンネルの中にいた厳しい日々から、知らないうちに抜け出し、あの辛さや厳しさが全部、自分の力になっていることを実感したのです。
 トンネルの中にいるとき、最初は、一歩踏み出すのも怖く感じていました。けれど、一歩踏み出したら、その次の一歩は1㎝でも前に!という勇気が湧いてきたのです。そのうちに、自分の歩幅が少しずつ広がっていくのがわかって、 いつしか自分の足で歩くのが楽しくなりました。今は光が差す道を歩いているけれど、それでも決して平坦な道を歩いているわけではないから、油断せずにもっともっとしっかり歩いていきたい。そのためにはもっともっと技術もセンスも磨いていかなければ、と思っています。

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AFTER THE BEAUTY AWAKE

 私の趣味は山登りです。年に数回、小さな山に、年に1回大きな山に挑戦しています。足場も悪いし、登っても登っても木々に覆われて景色は見えないし、標高が高くなれば気温が下がって空気が薄くなって、山登りは辛いことの連続です。でも歩き続けていると、ふと木々が減り、日の光が差し込み、稜線が見えてくると目の前に絶景が広がります。美容師という仕事は山登りに似ているのかもしれないな、と最近思っています。私には、まだまだ制覇したい山がいっぱいあります。

寺田 繭  
Doubleスタイリスト

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