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BEAUTY AWAKE

SCREEN 代表 神谷翼/Tsubasa Kamitani

STYLIST’S VIEW

 ビビビッと来たんです。初めて神戸の居留地に足を踏み入れたときに見た、街並みとそこに溶け込む大人の女性の姿に。何かわからないけれど、求めていた場所に出会えたような気がして、探していたものが見つかるような気がして、僕は縁もゆかりもない神戸という街に自分のお店をオープンすることに決めました。
大人の女性を
もっともっと自由にしたい
女性は年齢を重ねるほどに、しがらみから少しずつ解放されて自由になっていく……。僕はそんなふうに思っています。若いころは、学校で友だちから浮かないようにと自制したり、就職試験では選ばれる人材でなくてはならないと背伸びをしたり。就職すれば会社の中では仕事を依頼したくなる人物でなくてはならないでしょうし、結婚をすれば誰それの奥さまとしてふさわしい立ち居振る舞いが求められる。子どもを持てば、地域やPTA活動などで、世間体をわきまえた女性でなくてはならないなど、いろいろ自由になれない、しがらみがある。
 それが年齢をきちんと重ねていく間に、仕事ができるようになり、キャリアが積まれ、人間関係も上手に築けるようになって……。子育てが一段落するころになると、とらわれる必要がなくなってくる。人生を歩んできた力が自信となって、自分らしさを大切にできるようになる。そんなふうに思うんです。
 僕は、その大人世代の女性たちをもっともっと自由にしたい。なぜなら、自由になれる一方で新しい自分に出会うことをどこかで忘れてしまっているから。そんな女性たちに、ヘアスタイルを通して、新しいワクワクをいつも感じてもらえたら……。そう思って毎日、ヘアデザインに取り組んでいます。

 東京で美容師として活動を始めて何年も経ったある日。僕は休みを利用して大阪の友人のもとを訪ねました。その友人は、僕を大阪観光ではなく、神戸の居留地に連れていってくれました。そこで僕は、初めて神戸に居留地という場所があることを知りました。
 設置当時、「東洋におけるもっとも整備された美しい居留地」とされた神戸。イギリス人土木技師が設計した神戸居留地は、1945年に大空襲を受けたため、唯一現存する居留地時代の建築物は旧居留地十五番館だけ。でも、貿易の拠点、西洋文化の入り口として栄え、周辺地域に経済的・文化的影響を与えたその舶来の残り香は、僕が初めて居留地に足を踏み入れたときも、街を包んでいるような気がしたのです。
 大人の女性がハイブランドのファッションに身を包み、歴史的な建造物が並ぶ街並みにたたずむ。その姿が、街の紡いできた物語から醸し出される匂いとあいまって、とてもかっこよく見えたのです。そこで僕は、この街でお店をつくろうと決心しました。
 神戸は、大人の女性を自由にする。大人の女性をより美しくしていく。それに挑戦するのにふさわしい街だったのです。
 街がたどった物語と、目の前の大人の女性がたどった人生の物語を紡ぎながら、その先に、新しい自由な美しさを生みだす。その美しさは、ただ髪型だけがキレイなのではなく、その人自体に、その人にしかない存在感があって、それが街となじんでいる。そんなイメージが僕のめざすところです。
 決して技術を軽んじるのではなく、かといってそれを守るために何かを失ってしまうのではなく、技術は技術として継承してきたものをきちんと守りながらも磨き続ける。そして新しく生まれるアイデアや研ぎ澄まされていくセンスは、貪欲に柔軟に取り入れてのばして、絶えずそれらを融合させて発信していく。「何のための何なのか」という理論に裏打ちされていれば、それはきちんとした形になっていく。そんな確信があります。
 今日のモデルさんは、もうすぐ還暦を迎える大人の女性。1週間後に息子さんの結婚式があると聞いて、僕は、お母さまである彼女が、人生そのものを楽しんで生きてきていることが髪からもわかる、そんなスタイルにできれば、と思ったのです。
 カットは骨格が美しく見えるようにショートレイヤーにし、ざっくりと入ったハイトーンをなじませてから華やかに見える暖色でカラーリングしました。
 僕は、デザインを通して変わるのは、そして変えるのは、ヘアスタイルだけでなく、その人の意識、そして生き方だと考えています。だから髪だけをデザインするのではなく、コミュニケーションもデザインします。サロンでセット面に座ったお客さまに僕はいつも「では、さわりますね」と言って、手で骨格を確認します。どこがくぼみ、どこがふくらみ、どのくらいの髪の量で、どこを補正すべきなのか。声でのコミュニケーションだけでなく、自分の手でお客さまの頭&髪とコミュニケーションをとるのです。

 世界有数の美容都市である東京には東京の魅力があると思います。でも僕は。ビビビッの直感が確信に変わったこの神戸で、ベーシックな技術と僕たち若い世代でしか生みだせないセンスを融合した新しい美しさを発信し続けたい。
 年齢を重ねたお客さまに新しい美しさを提案するように、僕も僕自身に安定を求めるのではなく、年齢を重ねるなかでずっと変わっていけるのか?突きつけていきたいと思っています。まだまだ、もっともっと、と。
 これまでもスマートに美容の道を歩んできたわけではありません。突き抜けられないのではないかと思うような高く厚い壁があって、それでも戦い続け、そのとき、苦しさとともにつかんだ確かな手応え。その泥臭い、汗臭い感触を僕はもっともっと求めていきたいと思っています。ゆるい空気に浸っているときに生まれる平和な変化ではなく、追いつめられて自分で自分を追いつめて、「変わらなければ!と変わるとき」にしか手にできない変化。そうして手にした変化は、自然と自分の中で本物に変わっていくはずだから。

HAIR STYLE

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AFTER THE BEAUTY AWAKE

 お店をつくってまだ3年。今、やっと骨組みができたところです。ここまではとにかく骨太の1本で進んできました。でもここからは、スタッフたちと同じ方向を向きながら、もっとその道幅を広げていこうと思っています。多様な神戸の大人の女性たちがひとりでも多く、その道を楽しく歩いていけるように。

 

神谷翼
SCREEN 代表
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