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BEAUTY AWAKE

Nicole. スタイリスト 平原健太郎/Kentaro Hirahara

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 サロンワークや作品づくりをしている毎日の中で、デザインアイデアが降りてこないことがあります。思いついても技術が追いついていない現実に愕然とすることもあります。
 でも、サロンには、そんな僕のもがく姿を見ている後輩や先輩たちがいます。後輩たちは頑張っているのを見て応援したり協力したりしてくれる。先輩たちは技術指導やアドバイスをしてくれる。そのような中にいると、楽しいけれどしんどい。怖いけれどつくりたい。それを繰り返し、繰り返す日々を送っています。そのことに苦しさを感じるか?と言えば、答えは逆。僕は、とても幸せだと思っています。

楽しいけれど、しんどい
怖いけれど、つくりたい
その反復の中で
 憧れて入ったサロンで、自分の名前で作品を発表して評価され、サロンの名前を背負って作品を発表できるようになって。プレッシャーもあるけれど、より大きな世界で表現できている実感があります。店の名前を背負うことは、自分ひとりの名前でやるよりも、責任が大きくなりますが、それができるということに喜びを感じるのです。
 思い返せば、10年前。僕は、紙に書いて準備していたこととはまったく違うことを面接で語りました。面接が終わって「その手紙、置いていってね」と言われたときは「今、お話ししたことと違う内容が書いてあります」と冷や汗をかきながら渡しました。入社試験で用意してきてほしいと言われた「志望動機を書いた手紙」には、当たり前の、耳ざわりのいい言葉が並んでいました。でも、面接の瞬間、僕は、思いが走り出して、紙に書いてあることは読まずに、気持ちを伝えたのです。そして、それが受け入れられて「私たちは、あなたと一緒に働きたいと思っています」と連絡をもらいました。
 あれから10年。美容師って何だろう?と考えることが増えました。
 僕にとって美容師は、仕事だけれど、寝食を忘れて取り組んでしまう趣味のような側面もある。でも趣味とは違う。25〜26歳まで、美容師以外のことをやる可能性もあるかもしれないなと思っていたけれど、一度たりとてやめたいと思ったことはないのです。たぶん、それは、ここにいれば、やりたいと思っていることができるから。美容師をしながら、書道の勉強を続けていれば、もしかしたら書道の個展のスペースで髪を切ることができるかもしれないとか、サロンで僕の書の展覧会を開くこともできるかもしれないとか、いつか日本庭園を手がけたいと思っているけれど、それですら、勉強を続けていれば、日本庭園のある美容室をつくれるだろうなって。そんなふうに、この店にいると可能性を閉じずに済むのです。

 「美容師という軸」があるから、どんどん他の分野にも手をのばすことができる。そんなふうに感じています。もしも軸がなかったら、手をのばした瞬間にバランスを崩して倒れてしまうでしょう。それに僕がここで得た軸は、しなやかでありながら、折れることはありません。
 いつも根底に、カットがうまくなりたい、カラーがうまくなりたい、パーマがうまくなりたい、かっこいい作品をつくりたいという思いがあります。思っているものが表現しきれない歯がゆさや悔しさをいつも味わっています。自分の想像を超える創造ができないことに苦しみすら感じます。
 でも。僕は、自分に期待をしています。スタッフがびっくりするような自分になること。お客さまを少し驚かせるようなヘアデザインを提供し続けること。「期待されている」、その「期待」に応えること。すぐにではなくとも、それがすべてできるような気がしています。
 そのために毎日、目の前のことに手を抜かないこと。できるかできないか?ではなく、やるかやらないかのモノサシで、今日、想像できたことはすべてやりきる。その繰り返しで、明日は、今日の自分に+α加わった自分になれるだろうと思っているのです。
 今日のモデルさんは、出身地が僕と一緒の広島の方。32歳と年齢も僕と近く、結婚をして仕事をしている女性です。初めて会ったとき「こんなにも毛量の多い人がいるんだ!」と僕は驚きました。本人も「クセ毛で髪が多くて、まとまりにくいから、いつもストレートパーマをすすめられるんだけど、実は気に入っていない」とおっしゃっていて、僕はストレートパーマ以外の方法で、彼女のよさを引き出し、扱いが簡単になるようにしたいと思いました。長さを大胆に変え、毛量を丁寧に調整し、髪を洗っただけでかっこよく、可愛く見えるようにしました。もちろん、仕事やプライベートなど、さまざまなシーンで輝けるように、スタイリング剤をつけてアレンジもできるようなベースにカットしてあります。

HAIR STYLE

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AFTER THE BEAUTY AWAKE

 毎日、お客さまやスタッフたちと接して、業界誌を見て、セミナーに講師として出向いて、新たな課題が生まれ、新しい技術やデザインに出会います。そのたびに、自分の知らないことを知り、自分が何を知らないかを知り、やる気が出たり、途方に暮れたりしながら、それでも僕は、「知らないことを知りたい!」という気持ちを止められず、知ることを楽しく感じることがやめられずにいます。知らないほうが幸せなこともあるでしょう。「知る」ことに疲れを感じることもあるでしょう。でも、僕は、たぶんきっとこのまま、知りたがりのままの美容師でい続けると思います。

 

平原健太郎
Nicole. スタイリスト

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