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BEAUTY AWAKE

Double SONS 漆原サチコ/SACHIKO URUSHIBARA

STYLIST’S VIEW

 普段、私は自分に自信がありません。「自信のない塊」と言ってもいいくらいです。でも自分の美容室(現在はDouble SONS)にいると、不思議なくらい、私は自分を信じられるようになります。髪を切ること、髪型をつくることで、私はやっと「自分らしいと思える自分」で、人前に立てるようになるのです。美容師としての技術を最大限に高めること。それに向かって努力を続けることで、私はやっと、自信を感じることができています。
自信のない私が
ここにいれば
自分を信じられる
 思い返せば、昔の私には、自信があったように思います。というか自信があるかないかなど、気づかないでいたのかもしれません。以前在籍していた美容室では、特に不安も不満もなく、日々の仕事に職人的なおもしろさを見出して過ごしていました。でもあるとき、原宿駅でHEARTS(2018年まであったDoubleの別ブランド)のポスターを見て、体の中がムズムズとし始めました。なんて可愛い髪型なんだろう。なんてキレイなんだろう。なんてステキなんだろう。 
 次の日からは、どうやったらあの髪型がつくれるのだろう?と、そればかりが私の頭にはありました。業界誌を読みあさったり、ウィッグで練習をしたり。また、美容師として技術者としてすでに働いていたので、お客さまの髪で似せてつくったりもしました。でもどうやってもできないのです。そんな日々を過ごして、私はそのときの自分と自分の環境に限界を感じ、思いきってDoubleの扉を叩きました。
 タイミングよく中途採用試験を受けて採用された私は、アシスタントからやり直しました。器用でもなく要領も悪く、来る日も来る日も先輩に相談しながら、ときに泣きながら、それでもあのステキな髪型を自分でつくってみたいという思いが消えることはなく、ひたすら頑張り続けました。そして、しばらくして店長のアシスタントとして2年、その後、オーナースタイリストの山下浩二のアシスタントに半年つくことができました。当時、店長やオーナースタイリストのアシスタントにつくには、アシスタントのトップでなければならず、アシスタントのトップになるには全アシスタントから認められていなくてはなりませんでした。自分では思いもかけない大抜擢だったと思っています。
 「こうあるべきと思ってはいけない」「なんでも一度は全部素直に聞く」。いつも心がけているこれらのことは、Doubleでのやり直しのアシスタント時代に身についたように思います。自分で正解だと思っていても、それにこだわりすぎると幅が狭くなってしまったり、他のいい方法を取り込むチャンスを見逃したりしてしまいます。
そのときはわからなくても一旦聞いておくと、あとから実感を伴って理解できることがあることも経験上、知りました。先輩に教えてもらうこと、仲間が言う意見、後輩がしてくれる提案……私は、今も、すべてをできるだけ吸収したいと思っています。それは、すべてが美容師の技術を高めることにつながるから。そして、自信のない私が自信を持つために必要な何かがそこにあるから。
 今日のモデルさんは、近代日本文学を専攻している大学生。肌もキレイで眉も魅力的なのに、髪で顔を隠しているのがもったいないと感じました。そこで、顔を出して明るい表情が印象に残るような髪型にしました。
 ページを開いて本の中を旅するのが好きな彼女が読書している姿を想像して、大きな動きがなくても髪が揺れ動く感じが魅力的に見えるように。一見、物静かな雰囲気の彼女が好きな作家について話し始めると饒舌になり目を輝かせる、その姿がキュートに見えるように。細かく丁寧にクセを生かしながらカットしました。

 私が自分に自信がないと自覚したのは、Doubleで自分のリアルな実力を知ったことが大きく影響しています。練習しても、教わっても、いろいろな先輩の技術を見せてもらっても、自分でつくりたい理想の髪型ができないのです。いや、見せてもらえばもらうほど、知れば知るほど、自分に足りないスキルがわかり愕然とするのです。
 自信が持てない。でも好奇心や興味がとまらない。日々その繰り返しでした。ただDoubleで美容師として働くうちに、お客さまが何度も何度も足を運び、お客さまがお客さまを紹介してくださり、私がつくった髪型を褒め、結果「私」を求めてきてくださる方がいることに気づきました。そして私は、お客さまによって自信があると思えるようになってきました。できなくて自信が持てなかった私に、先輩や仲間が毎日、教えてくれていたのは技術だけではなく「こうやって頑張れば自信がつく」という実践的な方法だったことにも気づきました。

 今、Double SONSで働いていて大切にしているのは、どこまで技術力が高まってもセンスがよくても、おごってはいけないということ。目の前にいる大先輩の山下浩二さんや横手康浩さんの「好奇心旺盛で人に訊くことを恐れないでいる姿」を目の当たりにすると、なんでも知っている、わかっていると傲慢になることが、人としての成長を止めてしまうのだ、と思うのです。

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技術を身につけ、センスを磨き、お客さまから支持されることによって自分の中で養ってきた自信。それを身につけた今、私は、そのささやかな自信を大切にしながら、もっともっとそれを確固たるものにしていきたいと思っています。今、自分に自信がないと思っているのなら、私のところに来てください。あなたが胸に抱えている震えるようなその感覚。きっと私には、わかると思うから。お客さまから自信を与えていただいた私が今できることは、髪型でお客さまに力添えすることだと思っています。

漆原 サチコ
Double SONS スタイリスト

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