giulietta 市川雅由さん 編集後記
2022.11.02
今回取材させていただいたのは、giuliettaの市川さん。
giuliettaのある名古屋市の栄という街は、人気のカフェや居酒屋、最先端を行く洋服屋から老舗のビルまでが立ち並び、その中にアパートやマンションも混在する。雨上がりの早朝、様々な人が目を覚ます街はまだ少し生ぬるい空気が残っていた。爽やかに出迎えてくれたサロンの皆さま方がこの街の朝を明るく知らせてくれるかのようだった。
モデルさんの施術が始まり、その様子を見させていただく。終始、市川さんとモデルさんが楽しそうに会話をしている。プライベートな話で盛り上がっている合間に、髪の長さをモデルさんと確認しながら切り進めていたり、パーマをかける際はパーマ剤のそれぞれの効果を説明していたりした。自分が行っていることを一緒に理解してもらおうという気持ちがとても真摯に伝わってきた。
「僕は美容師をやってきたおかげで本当に楽しい人生になりました。その”美容師”という職業はお客さまがいないと成り立たないものなので、”美容師”でいるかぎりお客さま全員に満足していただきたいんです。
お客さまの「こうなってみたい」に近づけるためにも、「たくさん話をしてもらう」それを意識しているとおっしゃっていた。相手が話したいことを話せる空気が作れると、おのずとその方のヘアスタイルのゴールが見えてくるとも。「話したいことを話せる」というのはなかなかお客さまからすると難しかったりするけれど、相手の話をただ聞いたり、 何かを聞き出すだけでなく自分からも話をたくさんしている様子が市川さんには垣間見えた。
そんな市川さんの、相手を楽しませ心を開かせるパワーは人間相手だけではないかもしれない…と思った逸話がある。
giuliettaの店内にはいくつかの植物があって、どれも育てるのが難しそうなものばかり。
「なぜかここにあるものは枯れなくてどんどん成長するんです。隣の姉妹店では、すぐに枯れてしまいがちなのでそれが不思議で。もしかしたら、市川さんがお世話をしてくれているおかげかも…?」とスタッフさんが教えてくださった。それに対して市川さんは、「僕は植物がただただ好きなだけなので…(笑)」とおっしゃっていた姿がとても印象に残っている。
市川さんの愛のある気持ちは、相手を元気にするパワーがきっとあるのだろう。
何かに対する純粋な「好き」や「関心」「知りたい」という気持ちは、それが相手に伝わるときの温度や距離感がとても重要だと思う。市川さんがお客さまに対して「たくさん話をして欲しい」と思ったら、ただ単純に距離をつめるのではなく会話のリズムを作っていく、そういう温度感がとても丁度いいのだろうなと思った。もし植物ともそんな“丁度いい距離感”があるのなら、ぜひ知りたい…!