元 ちとせさんのリミックス
2020.03.24
ぼくはクラブに行くことは滅多にないし、リミックスという類いの音楽には詳しくないです。でも、この前自分でも不思議なほどはまったリミックスがありました。奄美大島の歌手、元ちとせさんのミニ・アルバム『元唄 幽玄〜元ちとせ奄美シマ唄REMIX〜』です。
元々2018年に出た、彼女にとって子供の頃にいつも歌っていたシマ唄(奄美では島のことではなく、集落のことを指すので「シマ唄」と書くそうです)を、プロの歌手になって初めてアルバムで取り上げたそうですが、三味線の伴奏で、彼女の独特のコブシで歌う素朴なそんな唄の世界が素晴らしかったです。また最後に入っている「豊年節」は今を時めく民謡クルセイダーズとのゴキゲンな共演で、それまで元さんが民クルを知らなかったとは思えない相性のよさが感じられます。
リミックス・アルバムには6曲が収録されていて、それぞれを違うアーティストが手がけていますし、雰囲気はばらばら。しかし、どういうわけか元ちとせの音楽がこんな処理によく合っていて、刺激的です。
去年の夏から月に1曲のペースで配信された6曲が年末にアナログのLPとしても発表済みです。先日番組のゲストにも来てもらった本人がすごく自然体の素敵な人でこれからライヴを聞くのも楽しみにしています。曲についての情報と2曲分のヴィデオがこちらにあります。
現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。
著書に『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『ラジオのこちら側』(岩波新書)『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫)、『ロックの英詞を読む』(集英社インターナショナル)、『猿はマンキ、お金はマニ』(NHK出版)などがある。
2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァルLive Magic(https://www.livemagic.jp/ )のキュレイターを務める。