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BEAUTY AWAKE

YENN 代表 岸川亮/Ryo Kishikawa

STYLIST’S VIEW

 僕は美容師になってから、いつもいつも恐怖を感じています。自分が提案する「髪型」が飽きられるのではないだろうか? ヘアスタイルをつくっている「自分」が飽きられるのではないだろうか?と。
 ただ、僕はその恐怖から逃げようとは思っていません。怖いけれど、目をそらさずに向かい合っていこうと思っています。何か新鮮なものを提供できないだろうか。それを提供できる新鮮な自分でいるためにはどうしたらいいのだろうか。そう問い続けて、日々、少しだけでも成長していかないといけないと思っています。
それでいいの?
自分に問う声が
いつも聞こえる
 サロンワークと同じくらい、僕は作品撮りを大切にしています。作品撮りをすること。これは、自分のヘアデザインを写真という形にして他者に見せること。自分やモデルやスタッフだけではない、その他大勢の人々の目に、自分の実力をさらすこと。だから、高い評価を得て楽しい思いをすることもあれば、酷評されて悔しい思いをすることもあります。
 でも僕はこの感情が好き。褒められるからうれしくて好きというような単純なことではなくて、ダメ出しされたり、まったく話題にならずに挫折感を味わったり。この大きな振り幅の中で、心が鍛えられて、モノを見る目が養われて、腕が鍛えられると考えているからです。腕が鍛えられれば、サロンワークでお客さまによりよいヘアスタイルが提供できますから。
 今日のモデルさんは、美術系大学の学生。ロングヘアが似合っているけれど、どこか彼女らしさに蓋がされてしまっているような印象を受けました。そこで、彼女の顔立ちがいちばん美しく見える位置で前髪をカットすることに。そして大人っぽさと甘さ、そのバランスも彼女の気分にフィットするように、透け感のある暗めのカラーで印象を変えました。
 僕はいつもお客さまと一緒に変化することを楽しもうと思っています。髪型って不思議なものでチェンジするとそれまで着ていた服が急に似合わなくなった気分になることがある。逆もしかりで、洋服を変えるとなんだか髪型が似合っていないような気になる。体型はまったく変わっていないのに、なんだかしっくりこない。そんなときに、僕が髪にハサミを入れることで、ファッションにあらわれているお客さまの気分に髪をフィットさせたり、逆に「この髪型ならこんなファッションも似合いますね」とファッション談議に花を咲かせたりできる。
 僕のところでカットした人が、僕のお店で新しいヘアスタイルになった人が、笑顔になって、その笑顔になる人が一人でも増えていってほしいと思っています。
 お客さまが2カ月ぶりに来店されると、僕は2カ月前の自分のカットの反省から始めます。あのときは最高だと思ったけれど、果たして最高だったのだろうか?と精査するのです。時間にしてみれば、ほんの数十秒から数分程度ですが、目の前のお客さまの現在の髪を見て、「ここは2カ月たってこうなったのか。なるほど。あれでよかったな」とか「そうか、ここはこうなったのか。違うカットでもよかったのかもな」と瞬時に思いを巡らせます。「似合う」という答えは決してひとつではないから、前回も正解だったけれど、反省した上で出した新しい答えも正解だということもあるでしょう。しかし、僕は現状に甘えたくない。「前回正解だったからいいじゃん」で終わらせるのはイヤなのです。前回の正解も本当に正解だったのだろうか?と常に自分に問う。その繰り返しをすることで、僕は僕が抱える恐怖と戦っています。
 まわりに尊敬できる先輩たちがいて、日本全国を見渡せば憧れの美容師さんたちがいて、そばにはライバルと呼べる同僚やぐんぐんと成長する後輩もいる。そんな状況にあっても、僕はさっきまでの僕、そして僕の中の恐怖に勝つことを大切にしています。
 自分から逃げなければ、ふと気づいたときに、尊敬できる先輩たちや憧れの美容師さんたちと肩を並べられているのでは、と思っています。

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AFTER THE BEAUTY AWAKE

 最近、休みの日に寺社仏閣を見に行くことが増えました。それは、何十年、何百年という時を経て残っている、その建造物、そしてその建造物に込められている宗教哲学などに惹かれてしまうからなのかもしれません。時代が流れても風化しない。普遍的なもの。

 美容師という生き方にも、つくりだすヘアスタイルにも、きっと何か共通するものがあるのではないだろうか?と今、探求しています。表面的なヘアデザインは変わっても、きっとそれを生みだす、また生みだそうとする人間の美学みたいなものの根底には、普遍的なものがあるんじゃないのかなって。

岸川亮
YENN代表
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