STYLIST’S VIEW
カットテクニックに今、不安はまったくないつもりです。こう言うと私のことを傲慢なヤツだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。でもそう言うだけの自信を持てるまで、私は努力に努力を重ねてきました。アシスタントのころから、空き時間は積極的にモデルハントをし、カットモデルを途切らせたことはありません。もちろんスタイリストデビューをしてからも日々、お客さまやモデルの髪に触れて切ってきました。そのすべてを美容師の血肉に変えています。
「いい美容師さんに会えたね」
お客さまの家族のひと言が
宝物
お客さまの家族のひと言が
宝物
私はこれまで「日本一のカット技術を持っている」と業界内外で称されているVeLOのオーナーの鳥羽直泰、また「落ち込んだら行って髪を切ってもらうべき美容師」と世間で評されている赤松美和など、自分のサロンにいる素晴らしい先輩に、イヤというほど、ダメ出しをされてきました。
ハサミの持ち方や刃の開閉の仕方、セニングの量、左右のバランス、立ち方、動き方……そのひとつひとつを注意され、叱られ、怒られ、自分には美容師としての素質がゼロなのではないだろうかと思うほど、徹底的に「できていないところ」を指摘され続けてきました。そのたびに、その言葉をすべて素直に聞き入れ、次への原動力にしてきました。その何年もの日々、時間を経たから、今、カットテクニックに不安を感じることはないのです。
もちろん、まだまだうまくなれると思っています。スタイリストデビューしたてのころの自分の作品を見返して「100点だけどもっとうまくできる」と思うこともあります。ただ、過去に後悔はなく、未来には、もっと素晴らしい美容師になっている姿しか想像できません。
ハサミの持ち方や刃の開閉の仕方、セニングの量、左右のバランス、立ち方、動き方……そのひとつひとつを注意され、叱られ、怒られ、自分には美容師としての素質がゼロなのではないだろうかと思うほど、徹底的に「できていないところ」を指摘され続けてきました。そのたびに、その言葉をすべて素直に聞き入れ、次への原動力にしてきました。その何年もの日々、時間を経たから、今、カットテクニックに不安を感じることはないのです。
もちろん、まだまだうまくなれると思っています。スタイリストデビューしたてのころの自分の作品を見返して「100点だけどもっとうまくできる」と思うこともあります。ただ、過去に後悔はなく、未来には、もっと素晴らしい美容師になっている姿しか想像できません。
今日のモデルさんは、営業職で新規プロジェクトに取り組んでいる20代の女性です。性格は明るいのに、髪型のせいで明るく見えないのが、仕事上でもプライベートでももったいないなと思いました。そこで、業務に影響が出ない程度のショートヘアにしました。カラーリングは、髪の動きが感じられるようローライトを中心にして明るくなりすぎないように。また退色が悪目立ちしないようにカラーコントロールもしました。
普段、お客さまに接しているときと同じく、本人に喜んでもらうこと、そしてその近くにいる人にも喜んでもらうことを今回も考えました。そのときだけ「可愛い」「いいね」と思ってもらうのではなく、家に帰ってから本音をズバズバと言える間柄の人が髪型を認めてくれる。それが私のめざすところです。一回きりの髪型を褒められるのもうれしいけれど、お客さまが家族に「いい美容師さんに会えたね」と言われることが私の宝物になります。
普段、お客さまに接しているときと同じく、本人に喜んでもらうこと、そしてその近くにいる人にも喜んでもらうことを今回も考えました。そのときだけ「可愛い」「いいね」と思ってもらうのではなく、家に帰ってから本音をズバズバと言える間柄の人が髪型を認めてくれる。それが私のめざすところです。一回きりの髪型を褒められるのもうれしいけれど、お客さまが家族に「いい美容師さんに会えたね」と言われることが私の宝物になります。
私は、過去に悔いはありません。でも過去の私は、できないことばかりの落ちこぼれでした。VeLOに採用されるまで、VeLOの試験や面接に5回も落ちています。新卒のときの1度目の不採用時は、VeLOへの道を自分で閉ざしてしまいたくなくて、受かってもいないのに荷物をまとめて富山から上京しました。その後、中途採用のチャンスにかけようと、都内のサロンでアシスタントとして1年半経験を積みました。それでも受かりませんでした。他業種でアルバイトをしながら週1ペースでVeLOへ足を運んだこともあります。ときに履歴書を持って。ときに思いを伝えるために手紙を持って。営業の邪魔になってはいけないので、閉店後、スタッフが洗濯したタオルを干し始めるのを確認してから訪問したり。
断っても断っても来る私にきっと辟易したのでしょう。門前払いをされたこともあります。それでも私はあきらめきれませんでした。そして24才のとき、新卒から数えて4年が経ったころ、これが最後かもしれないと臨んだ入社試験で「一緒に働きましょう」の言葉がもらえました。
断っても断っても来る私にきっと辟易したのでしょう。門前払いをされたこともあります。それでも私はあきらめきれませんでした。そして24才のとき、新卒から数えて4年が経ったころ、これが最後かもしれないと臨んだ入社試験で「一緒に働きましょう」の言葉がもらえました。
入社してからはシャンプーから全部、勉強し直しました。美容学校で習ったこと、前に在籍していた美容室で教わったこと。それを一度、ゼロにしました。なぜなら世の中できちんと通用する技術、センスを身につけたかったからです。プロとして通用するものを手に入れるためにVeLO流を自分に叩き込みました。
VeLOで働くことをたびたび相談していた父親は、入社試験に落ちて、それでも思いを伝えたくて、でも怖さを抱えていた私に、「後悔するのだったらダメモトでも自分の気持ちを伝えに行かないと!」と背中を押してくれました。その父はスタイリストデビューの半年前に亡くなりました。母親は今も遠方に暮らし、今の私には、パートナーもいなければ子どももいません。人生に対して漠然とした不安を抱えています。28才で子どもを産んでいる予定だったのに……(笑)。
でも、美容師という仕事に対する不安はまったくありません。背中を押してくれた父に恥じないように、私はこれからも毎日、全力で美容師を楽しみます。全力でぶつかっていける先輩や仲間がいる、このVeLO、veticaという場所で。その自分の姿が、父を喜ばせ、そしてお客さまに満足いただけることになると思っています。
VeLOで働くことをたびたび相談していた父親は、入社試験に落ちて、それでも思いを伝えたくて、でも怖さを抱えていた私に、「後悔するのだったらダメモトでも自分の気持ちを伝えに行かないと!」と背中を押してくれました。その父はスタイリストデビューの半年前に亡くなりました。母親は今も遠方に暮らし、今の私には、パートナーもいなければ子どももいません。人生に対して漠然とした不安を抱えています。28才で子どもを産んでいる予定だったのに……(笑)。
でも、美容師という仕事に対する不安はまったくありません。背中を押してくれた父に恥じないように、私はこれからも毎日、全力で美容師を楽しみます。全力でぶつかっていける先輩や仲間がいる、このVeLO、veticaという場所で。その自分の姿が、父を喜ばせ、そしてお客さまに満足いただけることになると思っています。
HAIR STYLE
AFTER THE BEAUTY AWAKE
お客さまが「テキトー」に髪を扱っていても「いい感じになる」。それが私がいちばん提供したいことです。「テキトー」でも「いい感じ」にするには、その土台となるカットテクニックがしっかりしていなくてはなりません。昨日より今日、今日より明日。日々、確実に素晴らしい美容師になっていく私(笑)のところに来てくだされば、きっと絶対、昨日より今日が楽しくなりますよ!
福江 章子
veticaスタイリスト