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BEAUTY AWAKE

aimant オーナースタイリスト 山本紫峰子

STYLIST’S VIEW

 小さいころは、漫画家になるのが夢でした。絵を描くのが好きで、最初は王道の恋愛少女漫画を描いていたのですが、いつの間にか四コマギャグ漫画路線に(笑)。でも、小学校の卒業文集に書いた将来の夢は“ヘア&メイク”。実家が美容室なんです。大正時代から続く古い美容室で、祖母の前の代から切り盛りしています。美容師が髪結いと呼ばれていた時代ですね。自宅の1階が美容室で、今も母がひとりでやっています。小学校から美容室に帰るのが当たり前の生活で、その記憶が私にとって美容師の原点です。祖母は80歳くらいまで働いていて、私はお店の隅っこでロッドを洗ったりペーパーを広げたりしていました。お手伝いをするとお小遣いがもらえたし、お客さまにもかわいがっていただきました。
人が好き、
お客さまが大好き
たのしい関係が私の支え
 卒業文集のほかに小学校6年生のときにクラスみんなで10年後の自分に宛てて手紙を書いたんですが、22歳のときにその手紙を読む会がありました。その手紙には“ヘア&メイクになったのか?”“しっかりやっとんのか?”とけっこう強めの質問が書いてありました。
 さかのぼると高校生のときは特殊メイクやファッションに興味があって、美容師になろうと強く思っていたわけではありませんでした。名古屋の繁華街・大須に行ってはいろいろな洋服やパーツを買い込んでリメイク、リメイクの日々。パンクもロリータもギャルも、あらゆるファッションに挑戦しました。そして進路を決める段階になって迷ったのが、ファッションデザイナーと美容師。憧れの先輩がファッション系の学校に進学したこともあって気持ちはファッションに傾いていたのですが、担任の先生の“ファッション系はむずかしいぞ”というひと言で冷静になり、美容師になろうと決断しました。ファッション系に進むと思っていた親にもびっくりされましたが、“好きな道を行きなさい”と背中を押してくれました。
 いろいろ迷ったりもしましたが、美容専門学校を卒業後はすっと美容師になりました。就職したのは、名古屋に7店舗ある大型サロン。私は負けん気が強くて先輩にも食らいつくタイプで、違うと思ったら店長とも言い合うほど。同期に負けたくない、というより先輩に負けたくないという気持ちが強くて、毎日深夜まで練習していました。早くスタイリストになりたいという一心でがむしゃらに働き、4年目にデビューしました。
 そうして気持ちが途切れることも、やめたいと思うこともなく13年。副店長、店長、ディレクターと階段を上り、忙しい日々を送っていました。後輩の指導やミーティングなどもあり家に帰るのは深夜12時すぎ、なんていう日も。やめるとかあきらめるとか、逃げ出すことが嫌いで、そりゃあつらいこともありましたけど、自分で決めたからにはここで頑張ると誓っていました。何事も環境のせいにはしたくないんです。高校生のときから専門学校に通っている間ずっと同じお店でバイトをしていましたし、“続ける”というのが自分の最大の武器だと思っています。ずっと美容師を続けてきた母の影響もあるかもしれません。
 そんな続けることしか頭になかった私が前のお店をやめることになったのは、結婚がきっかけでした。私たちは夫婦ともに美容師。29歳で結婚して、別のサロンで働いていた夫は結婚の3年後に独立することを目標にしていました。彼は決めたら突き進むタイプなので、その夢をサポートする形で一緒にaimantをオープンしました。aimantをオープンしたときは、エリアが前のサロンと違っていたので不安もありましたが、ずっと通ってくださる方や応援してくださる方もたくさんいて、感謝しかありません。aimantは、フランス語で磁石。その言葉どおり、人を引きつけ、人が集まる場所でありたいですね。
 感謝の気持ちを伝えたくて、昔から新規のお客さまにお礼のハガキを書いています。あるとき、あまり浮かない様子のお客さまがいらっしゃったことがありました。もう来てくださらないんじゃないかと不安に思っていたのですが、2回目に来店されたときはまるで別人のように笑顔で、“ハガキがとてもうれしかった”と心を開いてくださいました。そういう瞬間に美容師を続けてきてよかったなと思います。また、美容師1年目のときからお付き合いのあるお客さまは白髪染めで5週間に一度いらっしゃるのですが、aimantができて遠くなってからも、頻繁に通うのは大変なはずなのに来てくださっています。その方に“こんなに長くひとりの美容師さんにお願いしたことはない。私はあなたを選んでずっと通っているのよ”と言っていただけたことも忘れられなくて、お客さまとの関係が私の支えになっているんだなと実感しています。確かな技術はもちろん大事ですが、“人”を大切にして美容師を続けたいと思っています。
 今回のモデルさんとも付き合いがとても長く、もう18年くらいになります。私がスタイリストオーディションのときにお願いしました。そのオーディションはヘアショー形式で行うもので、装飾や映像など空間すべてを自分でプロデュースする大舞台。私は彼女と力を合わせてそのオーディションに挑み、アロマをたいて空間を演出しつつヘアとファッションの連動をプレゼンしました。ふたりで頑張ったかいもあり、オーディションには一発合格。とても思い出深いので、今回のモデルもお願いできて感無量です。過去にパーマをかけたときは私の技量が足りなかったこともありうまくかからなかったのですが、1、2年前にかけたときは“扱いやすく長もちした”と気に入ってもらえたようで、今回再挑戦することに。彼女は建築関係の仕事をするかたわら3人のお子さんを育てるママでもあり、近々お子さんのお祝いごともあるので、パーマで華やかにイメージを変えたいなと思いました。彼女はかわいいよりクールな印象なので、トレンドのウルフも取り入れ、のびた前髪は生かして仕上げました。
 仕事をしていて何より幸せなのは、お客さまと会話をしながらカットをしているときです。aimantに滞在している時間をいかにたのしく過ごしていただくかを考えて毎日サロンに立っています。前のサロンにいたときはスタッフの人数も多かったので自分がどれだけお客さまに支持されるかに情熱を注ぎ、負けたくないと思って闘ってきました。でも今はそういう考えはいっさいなくて、変に時間に追われず、いい意味でのびのびと自分を出せているなと感じています。独立して、忘れていた自分らしさを思い出すことができました。
 もともとメイクが好きでコスメを集めているのですが、これまではメイクに興味がある方としかお話できていませんでした。でも、これからはもっとたくさんのお客さまとメイクのお話をして、一緒にきれいに、そしてかわいく年齢を重ねていきたいと思っています。“眉をこう描いたらどう?”とか、“カラーマスカラをするだけでもかわいいよ”とか、これまでよりも踏み込んだ提案をして美容のアドバイザー的な存在になりたいです。美容師はそうであるべきですよね。
 いきあたりばったりな性格なので10年後、20年後のことを具体的には考えていません。でも私と真逆のタイプの夫には明確なビジョンがあるので、私はそのサポートをしつつ、aimantがもっと成長できるように裏で支えられる存在でいたいなと思っています。

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AFTER THE BEAUTY AWAKE

 実は、駅前の再開発に伴い母の美容室の立ち退きが決まっているんです。ひとつの時代が終わるというか、節目を迎えることもあり、メイクのほかにも何かできるのではないか、と自分にできることを模索しているところです。形は変わっても、祖母の前の代からの営みをつなげていきたい。そのためにはとにかく続けていく! 私の長所を生かすしかないですよね。

山本紫峰子
aimant オーナースタイリスト
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