STYLIST’S VIEW
子どものころから書道やバイオリンなどの習い事や、陸上、バスケットボール、競輪などのスポーツを幅広くさせてもらってきました。ですが、仕事となると違うことに挑戦したいと思い、美容師の道を選びました。たくさんの習い事やスポーツをしていたというと一見器用そうに思われますが、その逆で。それらの経験があるからこそ自分が不器用だと早くから知っていました。インターハイに出場したこともあるのですが、運動神経がいいから結果を残せるのではなく「続けること」が得意なのだと自覚していたのです。
ゆっくり進むから見える
大切なことがある
大切なことがある
僕がRed Pepper(ReDioの前身となるブランド)に入社したのは、弊社2店舗目となるJurrian-mayがープンするころでした。会社が成長する只中に、不器用人間が飛び込んだわけですから……。一歩進めば怒られるようなアシスタント時代でした。
ですが、やめようと思ったことは一度もありません。僕は不器用だけれど、自覚がある分それで落ち込んだり悔しがったりすることもない性格で。イソップ童話『ウサギとカメ』のカメみたいなタイプ。人よりできるようになるのが遅いなら「じゃあ人より5回多く練習しよう」と考えて取り組みました。その日何かひとつでも成長できたと実感するまでサロンから帰らないと決め、誰よりも遅くまで残って練習しました。
ですが、やめようと思ったことは一度もありません。僕は不器用だけれど、自覚がある分それで落ち込んだり悔しがったりすることもない性格で。イソップ童話『ウサギとカメ』のカメみたいなタイプ。人よりできるようになるのが遅いなら「じゃあ人より5回多く練習しよう」と考えて取り組みました。その日何かひとつでも成長できたと実感するまでサロンから帰らないと決め、誰よりも遅くまで残って練習しました。
ただ、そんなふうにゆっくりでも歩いてこられたのは、自分の力だけではありません。代表の西村(晃一さん)は「ひとつずつできるようになればいいから」と声をかけ続けてくれました。
「まわりは走っているように見えるかもしれないが、ゆっくりのほうがいい場合もある。そのほうが、きれいな花が咲いていることに気づけたり、いい景色が見えることがあるから」
「まわりは走っているように見えるかもしれないが、ゆっくりのほうがいい場合もある。そのほうが、きれいな花が咲いていることに気づけたり、いい景色が見えることがあるから」
そう言って辛抱強く見守り導いてくれました。さらに、西村だけでなく先輩も失敗するたびに助けてくれました。今でも西村や先輩方は、新入社員が入るたびに僕のことを紹介して「こいつの怒られ方を真似しろ」と言うんです。僕は怒られ方がうまかったようで(笑)。確かに怒られ方って大事で、怒られるのは助けようとしてもらえている証拠なんですよね。人に言われたことを愚直に受けとめ、成果が出るまでやり続ける。そんな僕を認めて助け続けてくれた仲間のおかげで今の僕があります。
大切なのは仲間だけではありません。お客さまやモデルさんとの向き合い方も、僕の成長を支えてくれました。入社2年目から挑戦し続けてきた技術コンテストでは、なかなか結果が伴いませんでした。後輩たちがどんどん全国大会に駒を進める中、僕だけエリア大会どまり。ですが、挑戦を重ねるうちにコンテストに勝つヘアをつくらなければという気持ちよりも、モデルさんに喜んでもらいたいという気持ちが大きくなっていきました。そうすると、自然と髪以外のことを話すようになりました。どんな音楽を聞いているのか? 学校で何があったか、何にハマっているのか……。その人の今の気分や「なりたい」イメージを汲み取って、心にもフィットするヘアをつくりたい。そう思って取り組んだ結果、10年目で初めて全国大会に進出。準優勝という結果を得ることができました。
モデルさんとの向き合い方が変わって、仕事の質が変わりました。そして、たくさんのお客さまに喜んでもらえるようになったら、まわりの人が向けてくれる気持ちも変わったと実感していて……。改めて、美容は自分のまわりの“人”ありきで価値が生まれ、成長していけるのだなと感じています。
モデルさんとの向き合い方が変わって、仕事の質が変わりました。そして、たくさんのお客さまに喜んでもらえるようになったら、まわりの人が向けてくれる気持ちも変わったと実感していて……。改めて、美容は自分のまわりの“人”ありきで価値が生まれ、成長していけるのだなと感じています。
好きなことを仕事にするのは「好き勝手にやる」とは真逆なんだと思います。好きなことに没頭するには、まわりに応援してもらえなければいけません。歩みの遅い僕をひたすら見守ってくれたスタッフや、僕の挑戦を支え応援してくれたモデルさんやお客さま。
僕の歩いてきた美容の道は、そんな人たちのあたたかなまなざしに包まれた最高の景色。ゆっくり一歩ずつ歩いてきた分、その人たち一人ひとりへの感謝もひとしおで、鮮やかに心に焼きついています。
僕の歩いてきた美容の道は、そんな人たちのあたたかなまなざしに包まれた最高の景色。ゆっくり一歩ずつ歩いてきた分、その人たち一人ひとりへの感謝もひとしおで、鮮やかに心に焼きついています。
HAIR STYLE
AFTER THE BEAUTY AWAKE
以前読んだ本の「好きなことを仕事にしても、必ず好きじゃないことはついてくる」という一節が心に残っています。好きなことほど自分の考えに固執せず、まわりの人の厳しい意見に耳を傾けるのは大事ですね。自分の欠点と向き合うのはつらいし、直すのもとても難しいですが、必ず宝物になります。その実感と、厳しいことを言ってもらえるありがたさが最近本当の意味でよくわかるようになりました。
政門将太
ReDio 店長