STYLIST’S VIEW
美容師は技術やセンスを磨くため、日々のサロンワーク以外に技術コンテストや撮影に取り組みます。僕もアシスタント時代から積極的に挑戦していましたが、いっとき距離を置いていたんです。お客さまともっと向き合って、ファンになってくださる方を増やす時期だと思って。ですが、ここ1年ほどで久しぶりに挑戦し、優勝という結果を残すことができました。それによって、改めて見えてきたものがあります。
背中で伝える
「らしさ」と楽しさ
「らしさ」と楽しさ
コンテストや撮影が好きというと、奇抜なヘアデザインだけを求めている美容師だと思われがちですが、僕がそこに取り組む理由はそれだけではありません。ヘアクリエイションは、その人に「似合う」とは何か? 「かわいい」とは何か? そういう美容師としての根本と向き合う時間を与えてくれるんです。
自分の技術でお客さまの魅力を引き出し、笑顔になってもらいたい。僕が本当の意味でこのことを追求し始めたのは、苦い経験によるものでした。スタイリストデビューしたてのころ、ロングヘアのお客さまから、ばっさり切ってウルフにしたいとオーダーされたことがありました。写真を見せてもらったけれど、どうやって切ればいいのかわからない。大汗をかきながら2時間くらいかけて必死にカットしましたが、満足できる仕上がりにはならず……。お客さまもきっと、満足されていなかったと思います。
自分の技術でお客さまの魅力を引き出し、笑顔になってもらいたい。僕が本当の意味でこのことを追求し始めたのは、苦い経験によるものでした。スタイリストデビューしたてのころ、ロングヘアのお客さまから、ばっさり切ってウルフにしたいとオーダーされたことがありました。写真を見せてもらったけれど、どうやって切ればいいのかわからない。大汗をかきながら2時間くらいかけて必死にカットしましたが、満足できる仕上がりにはならず……。お客さまもきっと、満足されていなかったと思います。
笑顔なくお帰りになるお客さまの後ろ姿を見送る不甲斐なさは、忘れることができません。もちろんデビュー前も一生懸命練習していたつもりでしたが、このときからが本当のスタートでした。まずは、「どうやって切るんだろう」をなくし、引き出しを増やすための努力を始めました。まずは、改めて代表(中島和樹さん)の仕事をちゃんと見ようと思いました。代表はお客さまが多いので、その分ヘアスタイルのバリエーションも多い。その日来店されたお客さまのスタイルを頭にインプットし、閉店後にウイッグでカットしてみる。そんな練習を繰り返しました。
また、ただオーダーされたとおりに仕上げるのではなく、いかにその方にフィットさせることができるか。この‟目”を磨くために、友達や街ゆく人をひたすら観察しました。誰かとすれ違っては、前からだけでなく、横からや後ろから見たバランスをいつも頭の中に描き続けました。
そうしているうちに、しだいにお客さまから「まわりの人に褒められたよ!」と言っていただけるようになったんです。オーダーされたとおりに切っていたときには見せていただけなかったお客さまの心からの笑顔。これこそが今、僕が美容師として頑張れる元気の源です。
また、ただオーダーされたとおりに仕上げるのではなく、いかにその方にフィットさせることができるか。この‟目”を磨くために、友達や街ゆく人をひたすら観察しました。誰かとすれ違っては、前からだけでなく、横からや後ろから見たバランスをいつも頭の中に描き続けました。
そうしているうちに、しだいにお客さまから「まわりの人に褒められたよ!」と言っていただけるようになったんです。オーダーされたとおりに切っていたときには見せていただけなかったお客さまの心からの笑顔。これこそが今、僕が美容師として頑張れる元気の源です。
そもそも、僕がNINAに就職したのは、長野県上田市という立地にありながらもデザインに対する情熱や洗練されたお店の雰囲気に感銘を受けたからでした。就職活動時、技術を磨くには上京したほうがいいのかなと考えていたところ、家の近所に「一見美容室とわからないほどおしゃれなサロン」が――。それがNINAでした。代表に切ってもらったヘアスタイル、接客、すべてに感動して入社。サロンワークだけでなく、撮影の手伝いをしたり、先輩が参加するコンテストに連れていってもらったり……。そんなふうに、アシスタント時代から「似合うデザインって何だろう」を学べる環境の中で育ちました。忙しかったですが、とにかく楽しくて。それらすべての経験が、デビュー後お客さまに提案する立場になって改めて‟目”を鍛えるときの土台になっていたのだと思います。
一見サロンワークと離れた前衛的なヘアデザインへの挑戦は、すべてお客さまの笑顔につながっている。これは、学び続けるオーナーや先輩と、NINAに通い続けてくださるお客さまから教えてもらいました。
一見サロンワークと離れた前衛的なヘアデザインへの挑戦は、すべてお客さまの笑顔につながっている。これは、学び続けるオーナーや先輩と、NINAに通い続けてくださるお客さまから教えてもらいました。
今回のモデルさんは、魅力的な目が印象的だったので、額の毛流れもふまえ、瞳に目がいくように前髪を長めに設定。その分首をスッキリと見せてバランスをとりました。顔型や骨格だけでなく彼女自身にフィットし、まとうムードも魅力的に引き出したいと思いました。
僕が思うNINAらしさとは今売れやすいスタイルだけを追うのではなく、お客さまの気分やライフスタイルに一歩踏み込んでデザインし、半歩先の笑顔をつくり出すことです。それは、僕がNINAにお客として初めて来たときに「洗練されている」と感じた印象の正体だと思っています。
これからは、僕自身が挑戦し続ける姿を見せて、NINAの技術とセンス、お客さまに対する思いや絆といった先輩やお客さまから教わったことを、後輩たちに伝えていきたいと思っています。
その上でさらに求めるのは「僕らしさ」。誰が見てもこのヘアスタイルは「栁澤がつくった」とわかってもらえるような仕事をめざしたいですね。今はSNSで全国の美容師さんがつくったスタイルを簡単に見られ、トレンドの移り変わりも目まぐるしい時代ですが……。情報に振り回されすぎず奇をてらうことなく、自分の思う「かわいい」を信じて発信し、それをいいと思ってくれる人をコツコツ増やしていけたら。
そんな、NINAらしいやり方で自分自身を磨く――それが結果としてお店の活力につながると信じています。
僕が思うNINAらしさとは今売れやすいスタイルだけを追うのではなく、お客さまの気分やライフスタイルに一歩踏み込んでデザインし、半歩先の笑顔をつくり出すことです。それは、僕がNINAにお客として初めて来たときに「洗練されている」と感じた印象の正体だと思っています。
これからは、僕自身が挑戦し続ける姿を見せて、NINAの技術とセンス、お客さまに対する思いや絆といった先輩やお客さまから教わったことを、後輩たちに伝えていきたいと思っています。
その上でさらに求めるのは「僕らしさ」。誰が見てもこのヘアスタイルは「栁澤がつくった」とわかってもらえるような仕事をめざしたいですね。今はSNSで全国の美容師さんがつくったスタイルを簡単に見られ、トレンドの移り変わりも目まぐるしい時代ですが……。情報に振り回されすぎず奇をてらうことなく、自分の思う「かわいい」を信じて発信し、それをいいと思ってくれる人をコツコツ増やしていけたら。
そんな、NINAらしいやり方で自分自身を磨く――それが結果としてお店の活力につながると信じています。
HAIR STYLE
AFTER THE BEAUTY AWAKE
SNSですごく当たってお客さまを集め、早く成功したいという若い子も多いはずだからこそ、僕自身が挑戦して結果を出すことの必要性を強く感じています。結果を出す人は誰しもすごく努力しているということを痛感するし、それを伝えたい。その苦労も楽しさもリアルに共有することが伝わる近道なのかなと思います。そうやって一人ひとりの成長を通して「長野といえばNINA」と言われるようなサロンにしていきたいですね。
栁澤洸樹
NINA スタイリスト