STYLIST’S VIEW
美容師は、来店してくださるお客さまに技術やサービスを提供して喜んでいただく仕事です。「お客さまに喜んでもらいたい」。多くの美容師が毎日思っていることですが、それってどういうことなのか。自分が提供できる価値って何なのか……。改めて考えてみました。
「来てよかった」
を積み重ねて前に
を積み重ねて前に
僕なりにそれをひも解いていくと、自分が提供できるのは、お客さまが「美容室に来てよかった」と思ってもらうこと。スタイルチェンジしたい人、リフレッシュしたい人、癒しを求める人。それぞれが美容室にいろいろなことを求めていらっしゃるはずですが、僕としてはすべてのみなさんにいい時間を過ごせたと思ってもらいたい。「お客さまに喜んでもらう」とは、そういうことです。
その答えにたどりついたのはここ最近のことですね。もともと器用ではなく、修業時代は苦労もありましたが、やめたいと思ったことは一度もなくて。ずっと美容師の仕事が楽しいという気持ちでここまできました。ですが、その「楽しい」の中身が、若いころと今とでは大きく違うことに気づきました。
当時の「楽しい」は、ただただファッションが好き、髪型に興味があるという気持ちの延長に過ぎなかったように思います。先に美容師の道に進んだ兄が好きな服と好きな髪型で働いているのを見て、楽しそうだなと思ったのも美容師を志したたきっかけのひとつでした。先ほども言ったように要領のいいほうではなかったために、厳しく指導していただいたアシスタント時代も、たくさん怒られましたけれど、それでも「楽しい」と感じていました。うちのお店ではアシスタントもカラーの提案に携わることができたのですが、そんな提案をできるのも楽しかったですね。
その答えにたどりついたのはここ最近のことですね。もともと器用ではなく、修業時代は苦労もありましたが、やめたいと思ったことは一度もなくて。ずっと美容師の仕事が楽しいという気持ちでここまできました。ですが、その「楽しい」の中身が、若いころと今とでは大きく違うことに気づきました。
当時の「楽しい」は、ただただファッションが好き、髪型に興味があるという気持ちの延長に過ぎなかったように思います。先に美容師の道に進んだ兄が好きな服と好きな髪型で働いているのを見て、楽しそうだなと思ったのも美容師を志したたきっかけのひとつでした。先ほども言ったように要領のいいほうではなかったために、厳しく指導していただいたアシスタント時代も、たくさん怒られましたけれど、それでも「楽しい」と感じていました。うちのお店ではアシスタントもカラーの提案に携わることができたのですが、そんな提案をできるのも楽しかったですね。
ただ、いざスタイリストデビューすると得意だった‟提案”にむずかしさを感じる部分が出てきました。思うようにお客さまについてもらえない原因を考えると、自分の提案の幅が狭いことに気づいたんです。自分が好きなテイストが限られていて、その得意なところにオーダーを持っていこうとしてしまって、得意でないようなテイストの場合は、思ったようにカットできずにやり直し、時間がかかって……。
当時も、気持ちとしてはお客さまに喜んでほしいと思っていたのですが、実際はお客さまが求めていらっしゃるものが見えていなかったのです。これが、はじめて「お客さまに喜んでいただくとは何か?」に向き合った経験でした。
当時も、気持ちとしてはお客さまに喜んでほしいと思っていたのですが、実際はお客さまが求めていらっしゃるものが見えていなかったのです。これが、はじめて「お客さまに喜んでいただくとは何か?」に向き合った経験でした。
そこで取り組んだのが、技術やデザインの学び直しでした。セミナーを受講したり技術コンテストに挑戦したりして、深めていきました。こういうときに挑戦するのはサロンワークではつくらないようなとがったスタイルが多いのですが、カットの奥深さ、ヘアカラー表現のおもしろさに気づくことができました。ひとつのスタイルに向き合って突き詰めることは、多くのヒントを得られる経験だったと思います。
それを経て、お客さまが喜んでくださるために何をすべきか。僕がいきついた答えは、よく見てよく聞くことです。
お客さまのお顔立ちや骨格、生えぎわの毛流れなどを観察すること。「似合わせ」というとフワッと聞こえますが、「現状のお客さまを素敵でなく見せてしまっているところはないか?」という視点で、シルエットのバランスや毛束ひと束ひと束を見ていきます。そして、髪だけではなくお客さまの服装やメイクなど、お好きなテイストや女性像からはみ出さず、それでいて洗練されて見えるような提案を心がけています。
もうひとつ、観察するのと同じくらい大事だと思っているのは、聞くことです。お客さまが新しく来店してくださるのは、いろんなところに不満や悩みがあることが多いと感じてます。お客さまが自分の思いををすべて話し切ったと感じてもらえるまでお聞きすることで、その気持ちを受け止めたいなと思っています。
お客さまのお顔立ちや骨格、生えぎわの毛流れなどを観察すること。「似合わせ」というとフワッと聞こえますが、「現状のお客さまを素敵でなく見せてしまっているところはないか?」という視点で、シルエットのバランスや毛束ひと束ひと束を見ていきます。そして、髪だけではなくお客さまの服装やメイクなど、お好きなテイストや女性像からはみ出さず、それでいて洗練されて見えるような提案を心がけています。
もうひとつ、観察するのと同じくらい大事だと思っているのは、聞くことです。お客さまが新しく来店してくださるのは、いろんなところに不満や悩みがあることが多いと感じてます。お客さまが自分の思いををすべて話し切ったと感じてもらえるまでお聞きすることで、その気持ちを受け止めたいなと思っています。
幸せなことに僕は美容師人生を振り返って「ずっと楽しい」と言いきれますが、その楽しい思い出の中にはいつもお客さまがいらっしゃいます。これはコロナ禍で改めて思い知ったことでもあります。お客さまがいないと美容師の仕事は成り立たないし、お客さまがいるから僕は楽しいんだと。僕の美容師としての存在価値は、そこにあるというくらい。そう強く思いました。
美容師はライフワークだと漠然と思っていましたが、近ごろは改めて生涯現役でいたいと考えるようになりました。そのためにも、今来てくださるお客さまをひとりも失客したくない。だからこそ、毎日すべてのお客さまに「いい時間を過ごせたな」と思っていただくことを目標に、それを積み重ねて進んでいきたいと思います。
美容師はライフワークだと漠然と思っていましたが、近ごろは改めて生涯現役でいたいと考えるようになりました。そのためにも、今来てくださるお客さまをひとりも失客したくない。だからこそ、毎日すべてのお客さまに「いい時間を過ごせたな」と思っていただくことを目標に、それを積み重ねて進んでいきたいと思います。
HAIR STYLE
AFTER THE BEAUTY AWAKE
僕自身が立ち止まると、お客さまも「来てよかった」とは感じられないようになっていくと思うんですよね。だからこそ、古きよきもの、新しいもののどちらも貪欲に吸収していきたいという思いがあります。その助けになっているのが、スタッフの存在。先輩方の技術やスタイルから学ぶのはもちろん、美容師としてのあり方に導いてきてもらいました。また、後輩たちは経験は未熟でも、話し方や提案など学ぶことが多い毎日です。接客や技術、デザインも期待以上に。仲間と一緒に、これからも立ち止まらず進んでいきたいと思います!
市川雅由
giulietta 店長