LIKE IT! HAIR CATALOG JP THE ERCOMMENDED
LILIのスタイリスト山本真梨子さんとRougyのスタイリスト沼端ちはるさんが
「LIKE IT!」に選んだのは、東京・谷中にSHOP&アトリエを構えるnido。
そこで今回は、コンテンポラリーグラス作家の矢口恭子さんと真野江利子さんを
nidoに訪ね、ステンドグラスの魅力について、いろいろお話を伺いました。
「自分がヘアスタイリストとして手仕事をしているからか、最近、手を使ってモノづくりをしている人に興味があって……。酵母から自分で手がけるパン職人さんとか、陶芸作家さんとか、どんな思いでつくっているのか、一度、機会があったら聞いてみたいと思っていたんです。そんな流れの中で出会ったのがnidoのステンドグラス。見た瞬間に『可愛い~っ』って声が出ちゃいました」(山本)
「ステンドグラスというと教会に使われているものを想像していたけれど、nidoのステンドグラスは、吊りランプや鏡、アクセサリーなど、日々の暮らしの中で使えるもの。どんな人がつくり出しているんだろう?って興味があったんです」(沼端)
今回、お話を聞かせてくださったのは、nidoを拠点にコンテンポラリーグラス作家として活躍する矢口恭子さんと真野江利子さん。矢口さんの妹と真野さんが同級生だったことから知り合ったというお二人は、自然と仲がよくなり、一緒に旅をするなど時間を重ねる中で、ステンドグラスの道を歩むことになったのだとか。一軒家の一角にある元洋裁教室を改装してつくったnidoは、手前がSHOP、奥がアトリエになっていて、ところ狭しとお二人の作品やお気に入りのグッズが並んでいます。買い求めた先も、時代も、テイストも異なるのに、それらが自然となじんでいる不思議な空間で、ステンドグラスの魅力や、これまでの経緯について、いろいろお話をお聞きしました。
矢口恭子さん
コンテンポラリーステンドグラス作家
nidoオーナー
ステンドグラスに魅せられて古典技法を学ぶスクールに通ったのち、コンテンポラリーステンドグラス作家として独立。2003年よりnidoとして活動を開始。翌年、東京・谷中にアトリエを兼ねたショップ「nido」をオープン。 作品制作のかたわら、個人向けワークショップや展示会も精力的に開催。
真野江利子 さん
コンテンポラリーステンドグラス作家
nidoオーナー
同級生の姉であった矢口さんと知り合い、ステンドグラスへの関心を高め、nidoの立ち上げから関わる。2013年にはnido初の著書『おしゃれなパリ風 自作ステンドグラス入門 はじめてでもかんたん! やさしい光のインテリア』(世界文化社)をリリース。
「もともとステンドグラスには惹かれていたんです。ただただキレイだな~って。そんなときにフランスの古典技法を教えてくれるスクールを見つけて、私が先にステンドグラスの世界に入ったんです。でも、ヨーロッパのステンドグラスは、宗教ととても密接なもので、ストイックに取り組む感じ。日本では住宅環境も異なるので、なかなかヨーロッパの本格的なステンドグラスを制作できる機会がなくて……。もっと日常に取り入れられる形はないのかな?と思い、たどり着いたのがnidoのスタイルなんです」(矢口さん)
「もともとは建築のキャドオペレーターをやっていたんですけれど、恭子ちゃん(矢口さん)がつくり出すステンドグラスをそばで見ていたら、興味が湧いてきて。20代の後半に差しかかったときに、一緒にメキシコに1カ月間旅行をしたんですよ。そこで見た鮮やかな色合いの世界に衝撃を受け、恭子ちゃんと一緒に何かをつくっていけたらなって思って。本格的にステンドグラスを始めたんです」(真野さん)
「作品やアトリエを拝見していると、ガラスの種類やその組み合わせの多さに目を見張ってしまうんですけれど、実際につくっていてステンドグラスの魅力って何ですか?」(沼端)
「ガラスは光を透過するから、やっぱりそれが面白いんだろうなって思っています。自然光で見るのと、蛍光灯の下で見るのと、電球の下で見るのとでは、同じガラスでもまったく違った表情をする。それにこのガラスの隣には、この色にしようかな?って、組み合わせが無限大。すぐにひらめいてパッと組みあがることもあれば、なかなか自分の中でおさまりがつかなくて煮詰まることもある。でも、自分で取得したベーシックな古典技法があって、その上で、どうやって自分らしく崩していこうかなって、その終わりのない答え探しがステンドグラスの魅力かもしれません」(矢口さん)
「キャドオペレーターをやっていたときは、どれだけ美しい設計図を描いても、それを自分の手で実物の形にすることはできなかったんです。ビルや住宅を何棟も自分で建てるなんてできないから(笑)。でもステンドグラスは、型紙を描いて板ガラスをカットしたり、ガラスを重ねて焼いて自分の色をつくったり、それこそ最初から最後まで、自分でできる。思い描いたものを自分の手で形にできるところに醍醐味を感じています。完成して光を通したときは、いつも感動します」(真野さん)
「nidoの作品からは、古い素材の質感を大切にしながらも、みずみずしい感性を感じるのですが、作品づくりのインスピレーションってどんなところから得ているんですか?」(山本)
「さっきから山本さんは、端ガラスを見ながら、自然と並べたり、組み合わせたりしていますよね(笑)。そんな感じで手を動かしていると、早く完成形が見たくて見たくて仕方なくなるんです。たとえば、似たような素材があっても、つくっている季節が違うと自然光の色が違うから、そのときの気分で違ったものをつくりたくなる。煮詰まったときは、隣にいる恭子ちゃん(矢口さん)に相談すると客観的な視点でアドバイスがもらえる。そうするとまた早く完成形が見たくなる。そんな感じで私はつくっています」(真野さん)
「パリを旅したときに見たアンティークのアイテムやメキシコに滞在していたときに目にした鮮やかな色彩……。そんな自分の好きなものの記憶が自分の中にきっとあるんでしょうね。旅をする中で、表現って『もっと自由でいいんだ』と思う機会がこれまでに何度かあったんです。ステンドグラスを始めたばかりのころは、自分のつくりたいものよりも『誰もやっていないことをやってみよう』と肩に力が入っていたこともあったけれど、つくり続けていると自分の好きなものがどんどん浮き上がってくる。もちろん、きちんとした技法がわかっているからできることではあるし、まだまだ途中の段階だと思うけれど、続けていれば、もっともっと見えてくるのかなって思っています」(矢口さん)
「大量生産はできないけれど、使う人の気持ちを形にしたい」
(矢口さん)
「何度つくっても同じものはふたつとしてできない」
(真野さん)
ステンドグラスの魅力をそう語るnidoのお二人がつくる作品に触れたければ、ぜひショップへ!
ワークショップも開催中。
nido
住所:東京都台東区谷中3-13-6
TEL:03-3824-2257
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜日
http://homepage3.nifty.com/nido/index.html
オンラインショップ
http://nido.shop-pro.jp/