第1回はこちら 「漫画とヘアデザイン、そのクリエイションに影響を与えたもの」
上原 先生は髪を「構図の中に衣装として使った」とおっしゃっていましたけれど、髪の曲線が本当に美しいですよね。
松本 髪は大切ですよ。(上原さんの作品を見て)これは、あなたがつくったものなのですか?
上原 こうやって自分の作品を先生に見てもらうのって恥ずかしいですね(笑)。
松本 きれいですね。衣装との組み合わせも素敵です。
上原 衣装を自分たちでつくることもあるんですよ。ヘアスタイルに合わせて。
松本 私も絵に描くときはヘアスタイルにこだわります。若いときからねぇ。長髪、短髪、巻き毛、いろいろなことを考えて描くわけです。
上原 昔から好きなバランスというのはあるんですか?
松本 ありますね。髪の毛は、角度でね、もう全然、違いますよね。なびき方ひとつとっても、髪のたれ方ひとつとっても、違いますからね。どちらを向いてもきれいな髪型と、そうではない髪型がありますし。
上原 見る角度によって変わるというのは確かにありますよね。
松本 街を歩いていても「この人きれいなのに、もう少し髪の毛を……」と思うときがありますね。
上原 やっぱり、先生もそういうことを思われるのですか?(笑)
松本 思いますね。それから着ている服の色。色によって随分違います。色の組み合わせとか肌の出方の微妙なところで変わりますよね。子どものころから、きれいな髪の女性がいると見てしまっていたし、逆に顔はきれいなのに髪が汚くて「もっときれいにすればいいのになぁ」と思ったことは何度もありますね。
上原 先生の描くロングヘアの曲線や、ショートヘアでもちょっとした髪の毛の見え方、そういうのに今の世代の人たちは、影響を受けていると思うんですよね。僕もそうですし。そうやって影響を受けた僕がつくるヘアスタイルもどんどん広がって伝わっていっているな、と。
松本 衣装やヘアスタイルによって、人格まで変わったように見えますからね。作品はもちろん、普通の、日ごろの街の中にいる人たちでも。
上原 人格まで変わったように見えるというのは、確かに僕もそう思います。
松本 髪のなびき方で感情の表現ができるんですよ。
上原 メーテルもそうですね。強く見えたり、寂しそうに見えたりする。
松本 強い女がね、強くて恐ろしいのが好きなんです(笑)。
上原 けれど、寂しい瞳だったりもするんですよね。