山下浩二(以下、山下) 今ももちろんそうなんだけど、僕らは若いころから、ずっと音楽が好きで。音楽って、ファッションや美容と、いつの時代も密接な関係がある気がしているんですよ。
ピーター•バラカン(以下、ピーター) どれも時代の空気を映し出すものですよね。
小松 敦(以下、小松) どんな音楽を聴いているかとか、どれくらい音楽を聴いているかって、この仕事をしている上で、きっとすっごく大切だよね。人によって好みはそれぞれだろうけれど、いい音楽を聴いているかどうかって、重要だと思う。
山下 「耳と目は直結」だから、若いころは先輩たちに「音楽をちゃんと聴かないとセンスが上がらないよ」って、よく言われていたし。
小松 僕はSHIMA時代、20代の前半〜半ばぐらいかな? サロンでBGM係だったから、貪るように音楽を吸収していたな。お金がない中でもいい音楽を聴きたいし、店でいい音楽を流したいから、片っ端から、音楽情報を入手しようとしていたし、吉祥寺とかにあったレンタルレコード屋に通い詰めていたもん。
山下 そう、それで僕らが当時、何をいちばん参考にして、信用していたかというと。
小松&山下 Poppers MTV!(注1)
ピーター 僕のことを「Poppers MTV」で知ったという人は、本当に多いですね。それまではラジオを中心に仕事をしていたんですけれど、僕のDJを聴いてくれた人があの番組の企画を立てて、僕を司会に推してくれたんです。僕は、そのころ、日本のテレビの音楽番組は正直言って面白くないと思っていたので(笑)、最初は躊躇したんですよ。でも丁寧な番組作りをするという熱意のある人たちだったので、一緒にやることにしました。
山下 あのころ、僕らは、音楽を貪るように聴いていたけれど、ピーターさんが番組で紹介しているものって、それまで自分たちが聴いていたものとまったく違っていたんですよね。
小松 そう、あの番組だから「毎回、見逃さないようにしないと!」と思わせてくれた。あの番組を信頼していたんだよね。今回は、僕の好みと違うなと思っても、信頼しているから、次回も必ず見るって感じで。
山下 放送されていたのは、深夜でしたよね? それも真夜中。仕事が終わって、練習したり、店の片づけしたりして、クタクタになって家に帰って……。それでも寝ないで、毎回、録画もするようにしていたな。