小松 敦(以下、小松) 山下さんは、もともと、どんな音楽から聴き出したの?
山下浩二(以下、山下) 僕はラテン!
小松 え? ラテン?(笑)
山下 セルジオ・メンデスとか、そういうのを仲のいいおじさんが聴いていて、そこから入っていったんですよね。
小松 セルジオ・メンデスね〜。なるほど、なるほど。
ピーター・バラカン(以下、ピーター) 日本ってラテン音楽が好きな人が多かったですよね。
山下 そうなんですよ。スペインの音楽に限らず、フランスのシャンソンなんかも銀座で聞こえてきたりして。
ピーター 意外とフランスの音楽って隣国のイギリスよりも日本で流行っていたりしますもんね。
山下 逆にイギリスの音楽って、隣国のフランスでは、流行ったりしていたんですか?
ピーター ある程度はですね。60年代は、ビートルズとかローリング・ストーンズが出てきて世界的に流行っていた時期があったから。でも、フランスはフランス、イタリアはイタリア、ドイツはドイツという感じでしたよね。
山下 フランスだとミッシェル・ポルナレフとかいたなぁ。
小松 いたね! 懐かしい! でも、あれって、本国であるフランスでも流行っていたのかな? ベイ・シティ・ローラーズなんかも日本では、異常なぐらい流行っていたよね。うちの田舎に来たぐらいだから(笑)
山下 あれ、なんで売れたんだろう?(笑)
小松 ローカルプロモーションがうまかったんじゃないかな?
ピーター そうそう。日本のレコード会社は、アイドルに仕立て上げるのが上手ですよね。あと、どこの国にも流行はあるけれど、日本人はとりわけ流行に敏感というか。
山下 そうですね、日本人は流行が大好き。確かに流行は必要なんだけど、ちょっと極端な側面もありますよね。
ピーター そうそう。僕が東京に来たのは1974年なんですけど、当時「non-no」とか「anan」がものすごく流行っていて。「街にいる女性がみんな雑誌に載っている格好をしている」と言えるぐらい、雑誌の影響を感じました。もちろん僕がロンドンにいたときも「今年の流行はこれ」というのはあったんだけど、日本ほどではなかったですね。雑誌だけではなくテレビの影響もあったと思うんだけど。
小松 でも当時は、ファッションはやっぱり雑誌の影響のほうが大きかったですね。