安藤 インディーズでメジャーをめざすのではなくて、メジャーにとって無視できない存在であるっていいですよね。
赤松 決して自己満足でやっているのではなくて、きちんと影響力のあるやり方でやっていて、気になるよね、あいつら、みたいな(笑)。
安藤 なめんじゃねえよっていうね(笑)。
赤松 そうそう!
安藤 私は、自分のことを平和的テロリストだと思っているんです。これまでも、これからも、平和的テロをみんなで起こすことをやっていこうと思っているんですよ。※1父の世代は、いろんな挑戦をしてきて、その中で、できたことがあって、できなかったこともあって。先輩たちが切り拓いてきた道で得た大切なもの、残っているものは、きちんと受け継いでいきたいと思っているんです。あの世代がなかったら、崩壊も可能性も存在しなかったから。ただ、あの世代は、頭からケンカ売っちゃう(笑)。
赤松 桃子さんのお父さまをはじめとして、破天荒な方がいっぱいいますもんね。
安藤 先輩方の、覚悟や生きざまを尊敬しているんです。覚悟を決めて飛び込むんだという考え方は、彼らからすごく影響を受けています。
赤松 上の世代の闘ってきた人たちには、その人たちにしかないカッコよさってありますよね。
安藤 うちの父は、※2妹には「ドリルになれ」って教えたんです。「どうせねじ曲がるんだったら、ねじれてねじれて、まっすぐに穴をあけるドリルになれ」と。そして、私には、「崖から飛び降りる覚悟がない人間には、飛び立つ権利はない」と。
赤松 すごい言葉ですね。
安藤 核とか軸を持ち続けることは、本当に大切だと思っています。ただ、やり方には工夫が必要だとも思っているのです。心の中では中指を突き立てながらも、それを剥き出しにして敵をつくったところで、簡単につぶされるくらいに権力は、はびこっていると思うから。だから、私たちの世代はまた違ったやり方で進められればなって。たぶん、女性のできることが増えてきているんじゃないかと思います。
赤松 私は、そういうの、ロックだねってひと言で言っちゃうんですけど(笑)。ロックなマインドは常に持っていて、単純に自分がおもしろいかおもしろくないか、ハッピーかハッピーじゃないか、楽しいか楽しくないかでジャッジしていきたいって思っているんですよ。美容業界の中でも、他の団体のこととか正直、気にならなくて(苦笑)。自分がワクワクしていられることが大切で、桃子さんと一緒で、平和的にやっているだけ。
安藤 平和的テロリストの仲間だ(笑)。
赤松 桃子さんもそうだけれど、本当に楽しんでいる人たちって、それが伝染すると思うんです。
安藤 楽しいことって伝染するって、本当に私もそう思います。高知って、山脈で閉ざされた独立国家みたいなんですよ。四国4県の中でも隔離されている。世界の縮図が日本列島だとしたら、そのさらなる日本の縮図が四国で、さらに高知は、西と東で気候も違えば、収穫できるものも違って、人もまったく違う。あのちっちゃい県の中で、それだけ違うものがあって。豊かです。
赤松 行ってみたい!
安藤 来てください。
赤松 この目で見たい。この足でその土地を歩いてみたい!
安藤 高知って、その独立国家のような中にキャラの濃い人たちがいっぱいいて、でもPR下手なんですよ。都道府県別平均所得なんて、絶えず、最下位をうろついている感じで。でも実は、高知の中ではそれなりのものがそれなりに成り立っているんです。
赤松 平均所得が低くても、高知の人たちは高知の中で、やっていけているってことですか?
安藤 そうなんですよ。それなのに、高知の人たちは、PR下手を悩んでいる。でも、私は逆じゃないのかな?って思っていて。もちろん発信力も必要だけど、高知の人たちが楽しんでいて、人生豊かにやっていたら、人間って楽しいことが大好きだから、自然とそこに人が集まってくる。高知のよさが伝わっていくんじゃないかな?って。近所でお祭りをやっていたら、人って気になるでしょ? そういう感じの求心力こそこれからは大切じゃないかなって。
赤松 変にPRしたために軸がぶれていったり、よさが見えなくなることってありますもんね。
安藤 そう。だから、惹きつけるマグネット方式でいいんですよ。そこに生きている人たちが楽しそうならば、自然と、絶対人々は関心を持って寄ってくる。その場に赤ちゃんがいると、人って寄っていくでしょ? それと同じで、幸せだと感じられるアンテナを持っている人たちが集まればいいのかなって。人生楽しくなかったら意味ないと思う。だから、赤松さんのヘアサロンのスタッフも離れていかないんじゃないかな? 寄ってくるし。でもこれって、普通のことなんですよね。
赤松 そう、普通のことなんですよね。