山田 出版社にいたころの麻由ちゃんって、好きなファッションの世界に飛び込んで、そこでがむしゃらに働いて、すごく力をつけていっている感じがしていたんだよね。
近藤 ちょうどそのころモードの世界ではアレキサンダー・マックイーンやジョン・ガリアーノなんかが出てきたりして、とってもエキセントリックで見るものすべてが刺激的でおもしろかった。
山田 おもしろいことが目の前にあると「寝ているなんてもったいない!」って思うよね。
近藤 そんなこんなでファッション誌で、濃い5年間を過ごしてきたけれど、私がそこで見たのはまさに「THE・モード(ファッション)」の世界だったの。そこから、しだいに「ストリートってどうなっているんだろう?」「他の世界ってどうなんだろう?」「リアルなカルチャーともリンクしたものにふれてみたい」という思いが湧いてきて……。
山田 麻由ちゃんって、もともと音楽にも興味持っていたものね。
近藤 そう、ファッションも好きだけれど、もともとは音楽が大好きで出版社時代もレコードだけは毎週レコード屋さんに行って買い続けていて……。だから、アートディレクターとしてフリーになることへの不安は多少あったけれど、音楽がリンクするようなこともできたらいいなと漠然と思っていた。そうしたら不思議と音楽でつながった人たちから仕事のオファーが来たりしたんです。
山田 CDジャケットのアートワークもやっていたよね。
近藤 フリーになりたてのころ、ハウスミュージックDJの第一人者として有名なEMMAさんのMIX CDのアートワークをやらせてもらったんです。すごく人気のあるシリーズだったので、自分のデザインしたものが、渋谷のCDショップの大きなブースに飾られたのを見たときは本当うれしかったですね。EMMAさんとは今でも尊敬する先輩として一緒にお仕事させてもらったり、DJをやったり、仲よくしてもらっています。