山田 書籍という残るものをつくるとなると、今回、麻由ちゃんにも携わってもらうし、多くのスタッフやいろいろな人の手が入る。そして、いろいろな人の手に渡る。だから自分のペースで持っていけるサロンワークとはやっぱり違うよね。
近藤 うん。違うところはいっぱいあるかも。
山田 だから、関わる人とのコミュニケーションとか、そのときの出会いから、また違ったおもしろいものが生まれて、いいものができあがるんだろうな〜とは思っているんだ。
近藤 本を出して、その先、千恵さんはどんな将来を考えているの?
山田 え? 将来?
近藤 私は、ずっと千恵さんに切ってもらっているから、いつも不安があるんだよね。
山田 不安?
近藤 千恵さんが引退したら誰にカットしてもらえばいいのかなあって。
山田 あはは。私ね、将来のこと決めていないの。
近藤 美容師は続けるよね?
山田 続けるよ〜。今、私より上の世代のお客さま、そしてそのお客さまの娘さん、その娘さんの子どもって感じで、3世代の家族がお客さまでいるのね。
近藤 すご〜い! 素敵だね。
山田 だから、4世代家族を手がけられるようになるまで、頑張ろうかと(笑)。小さいころの麻由ちゃんを知っているせいもあるかもしれないけれど、世代が違う子どもが来ると「将来、この子で作品撮ってみたい!」って思ったりもすることもあるんだ(笑)。
近藤 将来の作品づくりまで刺激されちゃうんだ。
山田 それもあるけれど、その子どもがヘアスタイルの力で可愛く見えたら、その親、そしてそのおじいちゃん、おばあちゃんの喜ぶ顔も見られる。それぞれの喜ぶ顔が見られるの。
近藤 へー そんなふうに考えていたんだ。
山田 3世代のお客さまを喜ばせることができるなんて、この仕事ならではかなって思っているんだよね。それに、そういう体験をさせてもらっていると、「やっぱりこの先の未来も見たい!」って思うんだよね。
近藤 毎日、サロンワークをしながら、次世代のことまで感じているっていいね。
山田 ヘアデザインって、最終的には、その人へのオリジナルのデザインをつくるのが目的で、ヘアカタログにヒントはあっても、それをどうフィットさせるかは、年代でもその時代の気分でも変わるし、そのお客さまのライフスタイルや仕事に対するスタンスでも変わる。そんな感じで私はデザインとつきあっているから、やめる理由もないし(笑)、いつまでも美容師を続けていると思うよ。
近藤 よかった! 息子がもう少し大きくなったら親子ともどもこれからもずっとよろしくお願いします!